双極性障害 軽躁状態の恐怖 - 軽躁で休職した話 -
僕は双極性障害Ⅱ型である。
うつ病で休職した話はネット上に溢れているが、双極性障害の軽躁状態で休職してしまった話が出ていなかったので、誰かの役に立つようにUPしておこうと思う。
目次
双極性障害とは
Ⅰ型とⅡ型に分かれ、気分が高揚する躁状態と気分が落ち込むうつ状態を繰り返す病である。
具体的な説明に関しては以下のサイトをご覧頂きたい。
非常に恐ろしい躁状態
Ⅰ型とⅡ型の両方に言えることだが、退職、離婚など人生を一変させる決断を病による一時的なテンションで実行してしまうのが1番の怖いところだ。
しかも、本人に自覚はなく周囲も気づかないことが多いので問題が大きくなるまで病気が発覚しないのである。
Ⅰ型の場合はその度合いが飛び抜けており即入院が必要だ。
例えば突然借金してマンションを買ってしまったり、ブランド物の服を買いあさったり、選挙に出て総理大臣になる!という無茶な事を言ってしまう。
最終的には周囲もおかしいと気づいて精神科や心療内科に行く事になるが、周囲が気づかない期間で人生や人間関係を容易にぶち壊してしまう。
そして、それらは病によって衝動的になされるので、落ち着いてくると猛烈に後悔して強烈なうつ状態になってしまう。それもあり自殺率は20%と言われている。
Ⅱ型の場合もⅠ型程ではないが人生に大ダメージを与える破壊力を持っていて、テンションが高い…だけでは済まされない状態になる。
健全なテンションが高い状態と異なり、躁状態の特性を持つテンションの高さというのが違いである。
Ⅱ型を発症して軽躁状態で休職した話
ここで具体例を示そう。
僕は失恋が原因でうつ状態になり心療内科に通ったが、3ヶ月後に体調が良くなったので通院をやめてしまった。
実はそれが躁転だった。
半年間ほど株の投機にのめり込み、その間は軽躁状態で仕事もできた。
投機が失敗に終わると鬱転し1ヶ月ほどうつ状態。
挫折して鬱転し1ヶ月ほどうつ状態。
そこから仕事のストレスが重なり軽躁状態が悪化。
強烈なストレスがかかったことにより、せどりで起業する!と猛進して勢いで休職。
周囲からは「元気なのになんで休職!?」と思われていたようだが無理もない。
ここで躁状態特有の事例が発生。
休職1ヶ月頃、駅前でナンパしている姿を会社の人間に目撃され社会的信用を著しく毀損。
これは性的逸脱という症状の1つだ。
そして「元気なのに休職し駅前でナンパしている奴」というレッテルを貼られる。
ただ、この時はまだ軽躁状態なので他人のことなど全く気にならなかった。
半年後には月100万くらい稼いでいけると本気で思っていたので「会社で働くしか能のない奴隷共は哀れだな」くらいに感じていた。
もう完全に病気(軽躁状態)である。
当然ながら、軽躁状態の時は冷静な判断ができていないのでせどりで成功するわけもなく4ヶ月後には挫折、鬱転して2ヶ月うつ状態。
そこから自分でアプリを作ろうと思いつきプログラミングを始める。
オンラインのプログラミングスクールを受講し、先生と個人契約をしてアプリを制作。
8ヶ月間ずっと軽躁状態でやり続けアプリが完成する間近になってうまく利益に繋がらないことが判明して鬱転、1ヶ月うつ状態。
途中でリワークプログラムを4ヶ月受講したが、軽躁状態だったので周囲の人と比べて元気なため受ける意味を感じていなかった。さらに受講者をナンパしたのがバレたり、過剰な発言があったのは軽躁状態だったからだと思う。
この辺りで主治医から双極性障害Ⅱ型と言われたが全く信じず&受け入れず。ここまでは自分が起業するために戦略的に休職を選んだと思い込んでいるためである。実際は軽躁状態による衝動的な行動なのだが、その自覚がないのが非常に怖いところだ。
そして、うつ病と違って元気なため自分が障害者であるという現実を受け入れるのは容易ではない。その後は転職してプログラマとして生きていく!と言い出して転職活動をしたが、両親が猛反対してくれたおかげで目が覚めて復職を決意するに至る。
するとこれまでの行為を猛烈に後悔して鬱転、超強烈なうつ状態が2ヶ月続く。この2ヶ月は特に強烈で、最初の1ヶ月は本気で死にたくなる日が続いた上、早朝覚醒してしまうと辛くて殺してほしいと思うほどの苦痛だった。
幸い自殺するほどの勇気はなく、事故にあったり、通りすがりの人に刺されたり、心臓麻痺が起きたりして死んでしまいたいと毎日思っていた。
そんな状態なので体が動かず寝ていることが多かったし、食欲もないので2週間ほどで体重は3kgも減ってしまった。うつ病の知識はあったので本当にそんな状態になるのだなと驚いたものだが、その辛さは想像を絶するものだった。
その時は今までバカにして来た抗うつ薬でなんとか危険なレベルから脱出できたので、この時ほど薬に感謝した時はない。
後半1ヶ月では何とか現状を受け入れようと色んな本を読んだ。特に以下の4冊にはお世話になった。
運命なんか全部変えられるねん! 大阪オカンの「命を躍動させる」39の教え (PHP文庫)
- 作者: 小田原悦子
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2014/08/29
- メディア: Kindle版
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本当に落ち込んだ時に読むと心が救われる1冊。
著者がどん底を経験しているからこそ言える励ましの言葉の数々。
随所で涙が出てしまい、死にそうな気分を上げることができる薬のような本。
希望を見出せなくて目の前から逃げ出したくなる時に読む1冊。
クリスチャンでうつ病を経験している著者が色々な励ましの言葉を書いてくれているのが非常に心に響いてきて、辛い時こそもう1歩だけ歩き出そうと思える。
希望が見出せない時に上記の本と合わせて読むとさらに心が救われる。
今後の生き方の参考になる1冊。
軽躁状態が現れた時に自分でブレーキをかけることが再発防止策となるが、そのために効果がある内容となっている。
著者は大学の教師をしながら投資を行って100億円という財産を築いた人で、その方法は実に地味で実直。コツコツと勤倹貯蓄に励み、それを投資に回して資産を増やしていった和製ウォーレン・バフォット。
地道にコツコツという王道こそが全ての本質で急がば回れであるという教訓を自分の心に刻み込むには非常に良い内容である。
これを読めばもう甘い儲け話に乗ることも勢いで休職することはないと思われる。
今後の人生の指針となる1冊。
上記の本と合わせて読んでおきたい人生の羅針盤的内容。
軽躁状態になってしまった時、その判断が正しいか否かを論語に則して考えれば今回のような休職という判断にはなっていないと思うし、今後の再発防止に役立つと思う。
さらに、論語を読むことにより「欲」から解放される自分を発見でき、それに伴い自己否定の精神的苦痛から解放されるという効果もある。
給与額、役職への関心、周囲との比較から解放され、自分が目の前の人たちの役に立っているか、誠実に対応できているかを考えて生きることが幸せに繋がっていくと考えるようになれる。
復職に当たって
恥や外聞を捨てて復職を決めるにはかなりの覚悟が必要だった。
周囲からどう思われるか、障害者として扱われること、組織人としての将来性の無さ、休職時に仕事を放棄してしまった罪悪感、休職した後悔、色々な考えと戦った。冷静に考えれば副業でやれば良いことだが、100%成功すると思い込み突っ走ってしまった。
まさに双極性障害Ⅱ型の軽躁状態が引き起こした悲劇。もちろん休職しなければ悪化の一途だと思うが、今考えても仕方ない。最初は「辞める!」と心療内科で豪語していたのだが先生に説得されて休職で止まったのが良かった。今思うと本当に有難い…これがなかったら今ごろ後悔して死んでいると思う。
なんで100%成功すると思ったのか?それは自分でもわからない…病のせいとしか言えない。悲しいかな当時は本気でそう思ったのである。それゆえ軽躁状態は恐ろしいのだ。勢いで会社を辞めたら後で絶対に死にたくなる。元気になったから強く思うことは休職したことに対する後悔であり、うつ状態の原因でもある。
ここまで来たら障害者という自分を受け入れて生きていくしかない。レールを外れ、障害者のレッテルを貼られ、優等生キャラから一変してしまった僕の人生。生きていると本当に何が起きるかわからない。
ただ、死ぬまで生きることはとても大切なことであるし、それを途中で諦めて自死することは最悪だと思っている。
幸い、僕の人生は11年周期で良いも悪いも来ている。3年後から良い流れの3年間が来るのでそれまでを1日ずつ、一歩ずつ歩いて生きたいと思う。